60歳で貯金1億円ある人の割合とその実態

60歳で貯金1億円ある人の割合とその実態

2024年7月17日

60歳で貯金1億円ある人の割合とその実態

60歳で1億円の貯金がある世帯はわずか1%

多くの人が老後の安心した生活のために、60歳までに1億円の貯金を目標にしているかもしれません。しかし、現実はどうでしょうか。投資信託協会の調査によると、60歳以上の世帯で1億円以上の貯金がある割合はわずか1%にすぎません。つまり、99%の人々は1億円に達していないのが現状です。

この数字を見て落胆する必要はありません。むしろ、ほとんどの人が同じ状況にあるということを理解し、自分の状況に合わせた対策を考えることが重要です。

60代の平均金融資産

日本の60代の平均金融資産は約2,499万円です。これは1億円には遠く及びませんが、決して少ない額ではありません。

年齢層平均金融資産
60代2,499万円

金融資産の分布を見てみると、以下のようになっています:

60代の金融資産分布

4000万円以上  [███████████] 22%
3000-4000万円 [████████]    16%
2000-3000万円 [███████████] 22%
1000-2000万円 [██████████]  20%
1000万円未満  [██████████]  20%

この分布から、60代の約40%が2000万円以上の金融資産を持っていることがわかります。一方で、1000万円未満の世帯も20%存在し、資産格差が大きいことも見て取れます。

60歳以降に必要な生活費

老後の生活に必要な費用を把握することは、適切な資金計画を立てる上で重要です。

月々の必要生活費

  • 二人世帯: 約25万円
  • 単身世帯: 約15万円

これらの数字は平均的な生活費を示していますが、個人の生活スタイルによって大きく変わる可能性があることに注意が必要です。例えば、趣味や旅行にお金をかける人、持病があって医療費がかかる人など、個々の事情によって必要な生活費は変わってきます。

年間の生活費試算

二人世帯の場合、月25万円の生活費を基準にすると、年間で約300万円が必要になります。これに予期せぬ出費や趣味の費用などを加えると、年間330万円から350万円程度を見込んでおくのが安全でしょう。

単身世帯の場合は、月15万円を基準に年間180万円。予備費を含めると200万円から220万円程度になります。

老後に備える3つの対策

1億円の貯金がなくても、適切な対策を立てることで安心した老後を送ることができます。以下の3つの対策を考えてみましょう。

1. 生活水準の見直し

退職後は収入が減少するのが一般的です。そのため、現在の生活水準を維持できるかどうかを慎重に検討する必要があります。

  • 現在の生活費を詳細に分析する
  • 無駄な支出がないかチェックする
  • 固定費(家賃、光熱費など)の削減可能性を探る
  • 趣味や娯楽費の見直し

場合によっては、現在の生活水準を下げることも検討しましょう。例えば、大きな家から手頃な大きさの家へ引っ越す、車の所有をやめて公共交通機関を利用するなど、大きな出費を抑える工夫が必要かもしれません。

2. 健康管理と緊急時の備え

健康であることは、医療費の抑制だけでなく、生活の質を維持する上でも非常に重要です。

  • 定期的な健康診断を受ける
  • バランスの取れた食事を心がける
  • 適度な運動を日常的に行う
  • ストレス管理を行う

また、突然の病気や事故に備えて、ある程度のまとまった貯蓄を確保しておくことも大切です。理想的には、半年から1年分の生活費を緊急時の備えとして確保しておくと安心です。

3. 継続的な収入源の確保

年金だけでは十分な生活費を賄えない可能性があります。そのため、追加の収入源を確保することを考えましょう。

  • 定年後も働き続けられる環境を整える
  • パートタイムや契約社員としての就労を検討する
  • 趣味や特技を活かした副業を始める
  • 年金の繰り下げ受給を検討する

年金の繰り下げ受給は、受給開始年齢を遅らせることで受給額を増やす制度です。例えば、65歳から70歳まで繰り下げると、受給額が約42%増えます。ただし、健康状態や他の収入源など、個人の状況を十分に考慮した上で決定する必要があります。

資産形成の手段

老後に向けた資産形成には、様々な方法があります。以下のような選択肢を検討してみましょう。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、年間の投資上限額内で購入した株式や投資信託の配当金や売却益が非課税となる制度です。

  • 一般NISA:年間投資上限額120万円、非課税期間5年
  • つみたてNISA:年間投資上限額40万円、非課税期間20年

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、老後のために積み立てる年金制度の一つで、拠出金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。

  • 60歳未満なら誰でも加入可能
  • 掛け金の上限は年齢や職業によって異なる
  • 60歳まで引き出しができないという制約がある

その他の投資

  • 株式投資
  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 外貨預金

注意: 投資にはリスクが伴います。十分な知識と理解が必要であり、自己責任で行う必要があります。初めて投資を行う場合は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

老後の生活設計

老後の生活を充実させるためには、経済面だけでなく、生活全般にわたる計画が必要です。

1. ライフプランの作成

  • 何歳まで働くか
  • どこに住むか
  • どのような生活を送りたいか

これらの質問に答えることで、具体的な目標と必要な資金が見えてきます。

2. 社会参加と生きがいの追求

  • ボランティア活動への参加
  • 地域コミュニティへの関与
  • 生涯学習や新しい趣味の開拓

経済的な側面だけでなく、充実した人生を送るための計画も重要です。

3. 家族や友人とのコミュニケーション

  • 家族との関係性の強化
  • 友人ネットワークの維持と拡大
  • 世代を超えた交流の機会を持つ

社会的なつながりを持つことは、精神的な健康と幸福感を維持する上で非常に重要です。

まとめ

60歳で1億円の貯金がなくても、多くの人が同じ状況にあります。重要なのは、自分の状況を正確に把握し、適切な対策を立てることです。以下の点を心がけましょう:

  1. 現在の資産状況を正確に把握する
  2. 必要な生活費を計算し、収支のバランスを取る
  3. 健康管理に努め、医療費の抑制を図る
  4. 可能な限り収入源を確保する
  5. 適切な資産運用を検討する
  6. 生活の質を維持しながら、無駄な支出を減らす
  7. 長期的な視点でライフプランを立てる

老後の生活は、経済面だけでなく、健康、社会参加、生きがいなど、多面的な要素が関わってきます。1億円という数字にとらわれすぎず、自分らしい充実した老後を送るための準備を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。

早めの準備と計画が、将来の安心と豊かな生活につながります。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも良い選択肢です。一人ひとりの状況に合わせた、最適な老後の準備を心がけましょう。