こんにちは、daitoです。
先日、私自身がデモトレードの中で、多くのトレーダーが何度も繰り返してしまう、ある「古典的で、しかし致命的な罠」に、見事にハマってしまいました。
それは、「力強く燃え盛る、上昇トレンドの天井を予測し、完璧なタイミングで逆張りのショートを狙う」という、甘美で、しかし破滅的な誘惑です。
この記事では、その時の私の「間違った思考プロセス」と、「なぜそれが間違いだったのか」という痛烈な反省、そして、その局面でプロが取るべきだった「唯一の正解」を、包み隠さず、全て公開します。
もしあなたが、何度もトレンドに逆らって大きな損失を出した経験があるなら、この記事は、あなたのトレードを守るための「ワクチン」になるはずです。
事件の概要:完璧に見えた「逆張りショート」の戦場
まずは、私がどのような状況判断で「売り」を狙おうとしたのか、その思考のログを見てください。

私の「間違った」分析と思考プロセス
- 戦場の認識:長期的な上昇チャネルの上限に価格が到達している。ここは強力な抵抗帯であり、反落の可能性が高い「絶対防衛ライン」だ。
- 戦略の選択:ならば、狙うべきは「逆張りのショート」。15分足で反転のサインを探し、天井から売り叩くのが最も効率的だろう。
どうでしょうか。一見すると、非常に論理的で、教科書通りの美しい分析に見えませんか? 私も、この時点では「完璧なシナリオだ」と確信していました。しかし、この思考には、2つの致命的な欠陥があったのです。
なぜ、この思考は「間違い」だったのか?2つの致命的な欠陥
結果として、相場は私の予測を嘲笑うかのように、さらに上昇を続けました。もし、これがリアルトレードで、私がシナリオ通りにショートを打っていたら、間違いなく大きな損失を出していたでしょう。
私が思考の修正を経てたどり着いた、この失敗の「本当の原因」は、以下の2点です。
欠陥①:時間帯(スナイパータイム)を無視していた
私がこのチャートを見ていたのは、日本時間の午前10時過ぎ。ロンドン勢が市場に入り始め、ボラティリティが上がりやすい、まさに「スナイパータイム」でした。
私の戦闘教義では、この時間帯は「トレンドフォロー(順張り)」が基本です。値動きが乏しい「ボクサータイム」ならまだしも、勢いのある時間帯に、明確なトレンドに逆らう「逆張り」を狙うこと自体が、そもそも戦略の根本的な誤りだったのです。
教訓その1:どんなに美しい抵抗ラインが見えても、まず「今の時間帯は、順張りと逆張り、どちらが優位な時間か?」を自問する。
欠陥②:短期的なチャートパターン(市場の“本音”)を軽視していた

私は、1時間足の「大きな物語(チャネル上限)」に目を奪われるあまり、15分足が示す「今の市場の“本音”」を見落としていました。
15分足では、価格は天井で反落するどころか、安値を切り上げながら高値に何度も挑戦する「アセンディングトライアングル(上昇三角保ち合い)」を形成していました。これは、「まだ上に行きたい」という、買い方の強い意志を示す、典型的な上昇継続パターンです。
アセンディングトライアングルが形成される前、価格は既に2度、高値を上抜けようと試みています。これは、買いの勢いが非常に強いことの証拠です。
通常のレンジ相場であれば、2度も上抜けに失敗した時点で「上昇の勢いが弱まった」と判断できます。しかし、今回は力強い上昇チャネルの中での出来事です。
この状況を正しく解釈するならば、「上昇の勢いが強いにも関わらず、何度も押し戻されている」のではなく、「何度も押し戻されているにも関わらず、なおも買いの圧力が衰えず、高値に挑戦し続けている」と見るべきでした。
この強烈な上昇圧力が見えている以上、ここは安易に逆張りの売りを狙うべき場面では、断じてなかったのです。
この重要な抵抗ラインは私独自のラインの引き方でひいいたものです。
では、どうすればよかったのか?プロが取るべき「唯一の正解」

これらの反省を踏まえた、この局面での「正解の思考プロセス」は、以下のようになります。
- 戦場の再認識:今はスナイパータイムであり、強力な上昇トレンドが発生中だ。逆張りは自殺行為であり、狙うべきは「順張りの買い」一択である。
- 好機の特定:15分足を見ると、アセンディングトライアングルを形成中だ。これは、上昇エネルギーを溜めているサイン。このエネルギーが解放される瞬間こそが、最も安全なエントリーポイントだ。
- 執行:アセンディングトライアングルの上辺を、ローソク足の実体が明確にブレイクして「確定」した瞬間に、迷わず「買い」でエントリーする。
「天井からのショート」ではなく、「保ち合いからの、さらなる上昇へのブレイクアウト」を狙う。 これこそが、この戦場で私が取るべきだった、唯一の、そして最も規律ある行動でした。
結論:あなたの「思い込み」こそが、最大の敵である

今回の私の失敗は、多くのトレーダーが陥る罠を、象徴的に示しています。
私たちは、自分が信じたい「シナリオ(今回はチャネル上限での反落)」が見えた時、それに反する「事実(アセンディングトライアングル)」を、無意識のうちに軽視してしまうのです。
常に謙虚に、チャートが示す「今」の事実に耳を傾けること。そして、自分のシナリオが間違っていたと気づいた時に、ためらいなく思考を修正し、戦略を転換できる柔軟性を持つこと。
この失敗談が、あなたが市場で長く生き残るための一助となれば、私のこの「価値ある損切り」も、報われます。