🎧 開発メモ音声(2025年6月録音)
レンジはなぜこんなにも難しいのか。
2ヶ月間の試行錯誤で学んだこと——
EA開発・裁量研究・実トレードの記録 MQL5 / MT4・MT5 / ボリンジャーバンド / ダウ理論 / チャートパターン / VWAP
EAを開発するメモ記事です。
2ヶ月くらい、改善と修正の日々でプログラムを書いています。
開発していたのはレンジ相場でも機能するEA。トレンド系はある程度固まってきたが、レンジだけは本当に難しくて、何ヶ月もコードを修正しては検証する日々が続いている。
この記事はその試行錯誤の生々しい記録だ。「こうすれば必ず勝てる」という答えは書いていない。それより、どう考えて、何を試して、何がうまくいかなかったか——その過程が、同じような壁にぶつかってる人の参考になればと思って公開する。
01EA開発の方向性——何をどう考えてきたか
もともとトレンドを軸にEAを作っていた。1時間足と15分足のダウ理論でフィルターして、下の足のサインでエントリーする設計だ。これはある程度機能していた。
ただ問題はレンジ相場に入ったときのドローダウン。トレンドが出ていない時間帯に損切りが重なって、コツコツ積み上げた利益が一気に消えていく。そこを何とかしたかった。
初期段階では「両建て」「チャートパターン」「1分足の方向エントリー(例:複数の時間足が同じ方向を向いたら等)」といった仕組みも検討していた。15分足を主軸にすることで短期の方向と長期トレンドを同時に分析しつつ、5分や1分で逆の方向にエントリーする、という手法が機能するのではないかと考えていたからだ。
現在は1時間と15分のダウ理論でフィルターをかけているが、これらを軸にしつつ、下の足のサインで単方向にエントリーするだけでなく、逆方向からも利益を狙う余地がある。つまり、「15分足と5分足の方向が一致したらエントリー判定が可能になり、最終的にプライスアクションでトリガーを引く」というアプローチだ。これなら優位性を保ち、端的な逆張り(レンジ転換点)でも利益を残せる可能性がある。
また、15分足確定で利益が出ていたら損切りラインを建値に移動。ピラミッティングをしている場合は一番近いポジションに全ての損切りを集約する、というルールも実装している。バックテスト上ではこれで資金が増加していたが、レンジ時間帯でのドローダウン問題が課題として残った。
そこで次に試みたのが、4時間足以上のトレンド方向のみエントリーする仕組みの実装だ。方向性を強化することで損切りを減らす狙いだった。
ただし長期足にするとその後の結果が悪化するケースも出てきた。
【今後やりたい設計思想】
現在、トレンド判定を4時間足以上に設定しているが、これを15分足に変更し、1分足の押し目でエントリーを拾う形にしたい。(そもそも、大局の方向性が合っていても違っていても、一時的な損失が大きくなってしまう設計自体が良くないからだ。)
試みた施策の一覧
なお、ピラミッティングをしている場合は、一番近いポジションに全ての損切りを建値にまとめるというルールも実装している。
ドローダウンを軽減するために考えた施策を整理しておく。
- 時間フィルターの拡張:既存の12時〜15時に加えて、早朝(6時〜8時)も取引を停止
- チャートパターンでの利確:上限・下限付近で利確する(実現と試行錯誤が必要で、結論としては難しい)
- 建値移動:単純に損切りラインを建値に移す(利食いができてもマイナスになるケースが発生)
- 大きな利益が出たときの利確:ボリンジャーバンド3σなど、エントリー転換点となった箇所からロットを再計算
- 利確設計の見直し:利益は現状維持で十分。損切りと近くをカバーするルールで勝てるはずという考え方
- 中くらいの相場での損失対策:3σタッチ利確であれば問題ない可能性がある
- 高値掴み・安値掴みからの急転換対策:転換点からロット計算することで大相場の高値でのロットを落とし、損失を軽減
- 小さいレンジでの損拡大対策:12時〜15時はトレードしない、ボリバンのバンドウォークがなければエントリーしない
- ロング相場での利食い実験:1回目のポジションは5分足で実体が出たら建値に置き、2回目以降はプラスになってからマイナスになった瞬間に全決済
⚠ MQL5開発の現実
MQL5などのマイナーだがニッチで特化した言語で開発を続けている。ちょっとした修正でも1週間程度かかることがあり、それを10分くらいのバックテストで検証し、また違う修正やアイデアを実装する——その繰り返しだ。こういったニッチ領域のプログラマーは本当に尊敬する。
02インジケーター開発——見た目と機能を同時に磨く
EAの開発と並行して、裁量トレードの分析精度を上げるために複数のインジケーターを自作している。目指したのは「一瞬で上か下かレンジかを判別できる」視覚的なチャート環境だ。
チャートパターン検出インジケーター
トライアングル・フラッグなどのチャートパターンを自動検出して描画するインジケーター。どの時間足のパターンかを色で区別できるように設計した。

VWAPインジケーター(自作)
以前から作っていたVWAPインジケーターにボリンジャーバンドを追加。レンジ判定の精度が上がった。
以前作った自作のVWAPとボリンジャーバンド、さらにチャートパターンの組み合わせチャート。組み合わせることで最初は少し見にくくはなりますが、これらを表示させるとゴチャゴチャはしているものの、分析の視点向上と深さは格段に上がっています。

アプローチはシンプルで、「チャートパターンインジケーターでトライアングルなどのレンジ収束を確認 ➔ 自作VWAPで現在の中心レンジを把握 ➔ ボリンジャーバンドの外限(あるいは抵抗ライン)に引きつけてエントリー」というロジックだ。
一旦これら3つのインジケーターの干渉やパラメータを微調整し、チャート上に重ねて表示させた際に見やすく、快適に裁量・EA動作確認ができるような仕上がりの調整を進めていきます。
3インジの統合チャート
まずは視認性を確保するため、一旦レンジ中(トレンドが発生していない局面)はローソク足の色をインジケーターと同じに設定する調整を行った。
厳密に言うとトレンドの際もお締めでのボリンジャーバンドの抵抗を確認したいのでこちらも非表示にしていましたが、実装。
これでチャートを開いた瞬間に、「上方向トレンド、下方向トレンド、それともレンジ相場か」を瞬時に判別できるようになりました。
これにより、分析の質は格段に向上し、多角的なエントリーが可能になったかと思います。しかし、純粋なレンジ取引のみであればこの表示のままで良いですが、本プロジェクトのEAは「トレンドフォローをメインに構築し、レンジ部分の無駄な損切り(ドローダウン)をいかに無くすか」を調整したいため、トレンドがどちらに動く可能性があるかという視点でレンジサインを削っていく(非表示・フィルターする)チューニングを加えていきます。
EAでうまく動作するようにインジケーターを確認し修正して、他のインジケーターとのバッファが干渉している可能性があるのでそういった問題も確認し修正した。
時間帯優位性インジケーター
時間帯による相場の性質の違いを可視化するインジケーターも新たに開発した。
矢印とFibonacciの色をトレンドライン・平行線・チャートパターン矢印と同じ時間足の色に変更して同期させた。また、短期の矢印にはローソク足確定までの残り時間を表示させ、これを1行ですッキリまとめる表示に成功した。
さらに、Fibonacciはどこからどこまで引いているのかがひと目で分かるようラインを表示。暗いラインは見づらいので視認性を上げるために明るく調整した。ズームしたときに平行ラインの文字が画面に合わせて見える位置に追尾するようにして、すべての時間足の文字を同時に確認できるようにした。
ここで時間インジケーター・パターンインジケーター・VWAPインジケーターの3つを活用し、適切な一点でエントリーするという運用方法が固まってきた。
03レンジ攻略の核心——時間帯とブレイクの関係
研究を続けていくうちに、レンジ攻略の鍵は「時間帯の理解」にあることが見えてきた。
一番取りたいトレードのイメージ
実態に多くのトレードパターンがある中で、裁量に最も実装したいのはこの形だ。
チャート上の描画が多すぎて複雑なため、どういう狙いなのかスッキリ整理します。
つまり、このようなシンプルなイメージです。やっている狙いは、動きが止まりやすい12時〜15時にレンジを作りやすい。このレンジをどちらかにブレイクする方向に押し目でエントリー。そして、価格が伸びる局面で追撃(ピラミッティング)を仕掛けるイメージです。
こちらはデモですがイメージしやすいように下記も確認してください。

こういった優位性は他にもたくさん見出しているので、すべて実装していきたいところですが、まずは目の前の一番重要なトレードを自動で再現できるようにEAを開発し、カスタマイズ調整を重ねていきます。
この時間にレンジしやすくブレイクしやすいのは人の多くエントリーできるかどうかです。つまり、市場が活発になるので15時以降。これと同じ原理なのが朝9時や夜の21時など。
精度良く引けている黄色いライン(4時間足ベースのFibonacci)へのタッチなど、ある程度ごちゃごちゃしているが優位性があるラインは引けています。やはりここまでは下がると想定していた通りになりました。


⚠ 12時〜15時は本当に危険
何年もここで資金を溶かしてきた経験から断言する。12時〜15時はできる限りエントリーしないこと。どうしても入る際はスプレッドを小さく保ち、ボリバンタッチと抵抗ラインを意識してエントリーすること。この時間帯に「ブレイク売り」で入ると、戻ってきやすくて想定外の損失になりやすい。
04実際の裁量トレード事例——分足別の分析から決済まで
ここからは実際のトレード事例を時系列で追う。インジケーターの開発だけでなく、裁量でどう分析して、どこでエントリーして、どこで決済したかの記録だ。
1時間足の分析
まず1時間足で全体の流れを確認する。直近の流れとチャートパターンを確認して、どちらに動きやすいかの大局観を持つ。
1時間足でこのような分析ができると「直近はショート→抵抗体付近でレンジ→反発から上昇トレンドに乗る」という複数シナリオが描ける。これが下位足のエントリー根拠になる。
15分足の分析

5分足の分析

1分足の分析

ミスエントリー事例——正しいエントリーとの違い
余計なエントリーをしてしまった事例だが、優位性はあった。20MAを上抜けでショートしているのでこちらはミスエントリー。正しくは下抜けからのプライスアクションでのエントリーだ。このスキャも時間帯による優位性を強く受けている。

05レンジでの実戦立ち回り——本番のトレード記録
ここからが本番。インジケーターと分析手法を使って実際にレンジ相場で立ち回った記録だ。デモ口座で高ロットを使って手法の優位性を検証している。
以下の取引はデモ口座でロットを張り、手法の優位性を測るために行った実験です。リアルトレードで同じことを行うことは推奨しません。資金管理・リスク管理を必ず行ったうえで、自己責任でトレードしてください。
レンジ相場での3つのトレードパターン
この時間帯のトレードは大きく3つのパターンに分類できる。
つまり、この活発になるアノマリー時間帯は「①大きな流れに沿った順張りブレイク後のスキャ」「②短期的逆張り秒スキャ」「③押し目まで戻ってきてから再上昇する本命スキャ」の3つの立ち回りに分類できる。
短期的にはこれらのパターンで利益を取ることができますが、大きな流れが変わったときはVWAPに逆らわないことが最重要になります。今回は「レンジの継続」と考えてレンジ下限(赤ライン)で買いエントリーを選択しましたが、直前で2回とも上に行っており、想定通りのレンジ上昇であればOKという判断でした。
ですが、実はこの部分は大きな斜めの抵抗線をブレイクしているので、下限ラインを下抜けてしまうと大きく下落していく危険な局面です。したがって、これが長引いた場合には(買い目線を捨てて)売り側の優位性が高くなります。

エントリーの基本ルール

利確・損切りの判断
1時間の3本(ローソク足)を確認すると、レンジのように上下動を繰り返している。つまり、このあたりで抵抗しているので、伸びは抵抗値を超えないと期待できない。この付近がもっとも安全な利確ポイントになる。
そこで、損益ゼロライン付近から建値を上げていき、トレンドブレイクの可能性が高まったら利確できるように、損切り位置を段階的に切り上げていく。
💡 2ポジ持ちのベスト戦略
2つポジションを持っていれば、片方はSLによる自動トレーリング決済、もう片方はネックラインタッチで即手動決済というのが最もバランスがいい。片方を残すことで大きく伸びたときの恩恵も取れる。
本命エントリーの判断
建値(ストップロス)は、さらに小さな押し目が終わって価格が上昇するタイミングを見計らって変更していく。
しかし、このように難易度が高い(レンジ気味の)時間帯は急に値動きが小さくなりやすい。そのため、たとえブレイク時間帯の王道エントリーをしたとしても、すぐに捕まって含み損を抱えるリスクが高くなる。保有時間が無駄に長くなり精神的にも不利になるため、慎重に利確を行うか、場合によってはエントリー自体を控えるなどの冷静な対処が必要になる。
ドテン判断——損切りからの方向転換
大きな実体が出たときは注意が必要だ。損切りを巻き込んでレンジ時間でも短期的に大きく動くことがある。

レンジ相場での逆張りスキャル

ブレイクアウトの形はある程度極めたので、あとはこの「レンジ局面」の攻略だ。海外FXの口座環境においてレンジを攻めるのがいかに最高難易度であるかは、スキャル経験者ならきっと共感してもらえると思う。多くのスキャルパーは動きが活発でボラティリティがある時間帯でのみ取引を行い、動かない時間帯はスプレッドの狭い国内口座で手堅く利益を出すのが一般的な戦い方だからだ。
ボラ無しでスプレッドが広く、海外FXで逆張りスキャルは一番負けに近い戦い方だ。おそらくFXの中で一番難しいのが「海外FX・スプレッド広め・スキャル」の組み合わせだと思っている。それでも、この部分でもコンスタントに積み上げられる力をつけたいのであえて挑戦している。トレーリングストップで利確感覚を学んで、その後自分で利確するという順番でレンジを学ぶのがおすすめだ。
06損切り刈りの構造——なぜレンジでは反転するのか
レンジ攻略で理解できてきたことがある。ブレイクできない時間帯の「フェイクブレイク」からの損切り刈りという構造だ。
「ブレイクできない時間帯に、多くのトレーダーがブレイクエントリーしてくる → 相場は想定より動かない → 損切りが溜まる → その損切りを巻き込んで反転する」
このサイクルを理解すると、レンジ相場での逆張りの根拠が見えてくる。ただしタイミングと損切りの設定が難しく、これが「激むず」と言われる所以でもある。
07デモ口座100万円→1,000万円達成の記録と「2の例」
手法の優位性を確認するために続けてきたデモ口座の検証。試行錯誤の末に100万円から1,000万円まで増やすことができた。
下記が1日の利益記録だ。





利確はボリンジャーバンドを基準にしている。











激むずレンジでなんとかプラスにできたケースも記録してある。
「2の例」——トレンドラインと損切り刈りの応用
ただし、一気に勢いよくブレイク(抜け)していない状態で、同じようなブレイクに飛び乗ってしまうと、価格が強い反転押し戻しに巻き込まれて往復ビンタを食らう確率が非常に高くなります。
ここで相場に迷い(方向性の不一致)が発生し、なかなか想定通りにブレイクしてくれません。これは単純にブレイクアウト自体の勢いが弱い(ボラがない)こと、そしてじわじわとゆっくり抜けているため、他のトレーダーに逆張りや利確目標が想定されやすく、想定外の押し戻しを受けやすかったことが原因です。この動きに捕まった場合は、焦ってドテンするより単純に元の大局相場についていくのがベスト。重要な横軸の抵抗帯をまだ超えていないことが多いため、ただの「弱い抜け」とみなされて一瞬で巻き戻されるからです。
これが「2の例」になります。

チャートに表示させる分析の根拠(描画ラインや矢印など)は、リアルタイムで常に更新されるようにし、表示していても古い情報ではなく常に新しい根拠に自動で切り替わる仕組みを意識して構築している。あらかじめ画面にすべての根拠を表示させつつ、動的に変化する優位性に対応できるようにするのが目的だ。
08ブレイクアウトエントリーの注意点——これで何度も負けた
ブレイクアウトエントリーは利確しないとすぐに含み損になる。これは何度も経験した。本当に注意してください!
方向がある程度強い波になっていれば、じっと耐えることで一時的な含み損からこのように最終的に戻ってきて助かることもありますが、メンタルに致命的に良くないので、ブレイクアウトへの無理な飛び乗りは避け、しっかり引きつけて「押し目待ち」をするのが王道であり一番おすすめです。

⚠ ブレイクアウトエントリーで負けるパターン
弱い抜けのときにブレイクアウトエントリーをすると、相場に迷いが発生してなかなかブレイクしない。重要な横の抵抗を抜けていないことが多く「ただの弱い抜け」として扱われる。押し目まで待つのが一番おすすめ。
手法の優位性を徹底的に測るためにロットを張ってデモ口座での検証を続けました。
途中からのデータ(履歴)にはなりますが、下記がその証拠です。最終的にデモ口座の資金を100万円から1,000万円まで増大させることができました。
09レンジ攻略の現在地と今後の方向性
正直に言うと、レンジはまだ完全には攻略できていない。でも、2ヶ月の試行錯誤でいくつかのことが見えてきた。
- ブレイク前とブレイク中の相場ではある程度利益を残せる力がついてきた
- レンジ攻略の核心は「時間帯の性質理解」と「期待値の高いエントリーだけに絞ること」
- 海外FXのスプレッドが広い環境でのスキャルがFXの中で最も難しい部類に入る
- レンジでコンスタントに積み上げられる力をつけることで、どんな相場環境でも戦えるようになる
現在取り組んでいるのは「期待値が高いレンジのみでエントリーする」という direction への絞り込み。基本的にブレイクしそうなときに逆張りするイメージで、ここにボリバンとチャートパターンを組み合わせる。
アノマリー時間やトレンド時間は普通にブレイクしやすいのでこれに乗るだけ。問題はそれ以外の時間帯をどう戦うか。これが今の最大のテーマだ。
MQL5のニッチ領域でコードを書き続けている。1週間かけて修正して10分で検証して、また修正する——その繰り返しだ。でもこの過程で見えてきたものがある。
次の記事では、トレンドフォローEAの初期研究から、今のレンジ攻略に至るまでの原点を掘り下げていく。
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「レンジ攻略という茨の道に挑む前、まずシンプルなトレンドフォローのEA開発から研究を始めた。MAとVWAPを組み合わせた初期の試行錯誤の記録。→ 【EA開発のリアル】MAとVWAPで聖杯を目指す試行錯誤と高勝率EA構築への道(ブログにて公開中)」

