先日、私の動画に、ある視聴者の方から、核心を突く質問をいただきました。
「レンジ相場を掌握出来たら、市場が休みのレンジ相場でも利益を積み上げる事が出来るのでしょうか?」
この問いに対し、「プロはそんな戦場では戦いません」と一言で切り捨てるのは簡単です。しかし、それでは本当の答えにはなりません。生活スタイルや仕事の都合上、どうしてもボラティリティの低いレンジ相場で戦わざるを得ないトレーダーが、数多く存在することを知っているからです。
今日は、その切実な問いに、私の知識と経験の全てを注ぎ込み、「現実的な、そして具体的な処方箋」としてお答えします。
※まず、ここでの「市場が休み」とは、土日のことではなく、「平日の、市場参加者が少なくエネルギーを溜めている時間帯」のレンジ相場と定義してお話しします。
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第1章:「可能ですか?」への、私の率直な答え
結論から申し上げます。
「極めて厳しい条件下でなら、可能ですが、難易度は『激ムズ』です」
なぜなら、ボラティリティの低いレンジ相場での戦いは、「取引コスト(スプレッドと手数料)」という、目に見えない、しかし巨大な敵との戦いだからです。数pipsの小さな利幅を狙う戦略において、このコストはあなたのリスクリワードを著しく悪化させ、並外れた高勝率を維持しなければ、資金は少しずつ削られていきます。
しかし、「不可能」ではありません。
その成否は、あなたがどの『戦場(ブローカー)』を選ぶかに、ほぼ全てがかかっているのです。
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第2章:あなたの『戦場』はどこか?- 3つの処方箋
あなたの状況に応じて、戦略と難易度は劇的に変化します。
- 国内業者で戦う場合(資金100万円以上の方へ) 結論: 可能性は、十分にあります。 理由: 国内業者の最大の武器は、USD/JPYなどで見られる、圧倒的な「低スプレッド」です。この武器を最大限に活かせば、10pips前後の小さなレンジでも、取引コストを吸収し、利益を積み上げる戦略は理論上可能です。(著名なトレーダーであるCXRのヒロシ氏のスタイルが、この好例と言えるかもしれません) ただし、忘れてはならない『副作用』があります。 それは、一部の業者で見られる「約定遅延」のリスクです。
- 海外低スプレッド業者で戦う場合(資金100万円以下の方へ) 結論: 難しいが可能。ただし、国内より難易度は上がります。 理由: 高いレバレッジにより、少額資金からでも始められるのが最大のメリットです。しかし、国内業者ほどの極小スプレッドは期待できません。したがって、狙うべきレンジも、国内よりは少し広めのものに限定されます。 『副作用』: こちらも同様に、プラットフォームによっては約定力に課題が残る場合があります。低コストというメリットの裏にあるトレードオフを、冷静に見極める必要があります。
- プロップファームで戦う場合(私の主戦場) 結論: 小さなレンジでの戦いは、ほぼ『不可能』と言っていいでしょう。 理由: プロップファームの厳しいドローダウンルールと、比較的広めのスプレッドは、小さなレンジでのスキャルピング戦略と、絶望的に相性が悪いのです。挑むのであれば、明確なサポート・レジスタンスに支えられた、大きなレンジに限られますが、それでも難易度は「激激ムズ」です。
第3章:『約定力』という名の心臓部 – あなたの剣は、本当に「最速」か?
低コストという「盾」を手に入れても、あなたの攻撃(注文)が敵に届かなければ意味がありません。それが『約定力』です。
著名なトレーダーであるジュン氏が、その著書で述べている通り、「約定が早いプラットフォームを選ぶべき」というのは、トレードの本質です。
しかし、「約定力」と一言で言っても、その実態はブローカーやツールによって大きく異なります。ここでは、私の知見に基づき、具体的な比較を行ってみましょう。
海外ブローカー『約定力』比較表(daito式・私見)
業者名 | 約定力 | スプレッド/コスト | MT4/MT5 | 特徴・daitoの視点 |
---|---|---|---|---|
Axiory | ◎ (業界最速クラス) | 〇 (優良) | MT4でも高速 | 経済指標のような瞬間的な動きを狙うなら、この約定力は絶大な武器になります。ただし、その速さゆえに微細なノイズも拾いやすいという側面も。まさに玄人好みの「名刀」と言えるでしょう。 |
Exness | △ (Axioryに劣る) | ◎ (業界最安クラス) | MT5推奨 | 私の肌感覚では、Axioryと比べると約定に一瞬の「間」を感じます。特にMT4では、その遅延が顕著に感じられるかもしれません。しかし、低コストという絶対的な魅力は捨てがたい。Exnessで戦うなら、MT5の選択は必須と言えます。 |
ThreeTrader | (未検証) | ◎ (業界最安クラス) | (未検証) | 低コストの魅力から、私も注目しているブローカーの一つです。しかし、私自身が口座を開設し、その約定力を肌で感じるまでは、安易な評価はできません。 |
(注:この表は、あくまで私の個人的な経験と主観に基づくものです。最終的な判断は、必ずご自身でお試しください。)
結論:MT5という、次世代のエンジンを選べ
もしあなたが、Exnessやその他の海外ブローカーで戦うのであれば、プラットフォームは断然『MT5』をおすすめします。
MT4とMT5では、内部の処理速度が根本的に異なります。特に約定速度に関しては、その差は歴然です。低コストブローカーの「約定力の弱さ」という弱点を、ツール側で少しでも補う。それが、現代のトレーダーに求められる、賢明な選択です。
最終結論:あなただけの『設計図』を描くために
ここまで、私の見解を述べてきました。国内か、海外か、プロップか。どの戦場を選ぶかによって、「レンジで勝つ」という行為の難易度は、全く別のものになります。
ぜひ、ご自身の資金状況、許容できるリスク、そして何より「どんなトレーダーになりたいか」を深く見つめ直し、あなただけの最適な戦場を選んでください。
最後に、これはあくまで現時点での私の経験と知識に基づく見解です。市場も、テクノロジーも、そして私自身も、常に変化し続けます。この記事が、あなたの思考を深めるための一助となれば、これ以上の喜びはありません。
参考資料:巨人の肩の上に立つ
この記事を締めくくるにあたり、私が尊敬する二人の専門家をご紹介します。本物の知見とは、一つの源泉からだけ得られるものではありません。偉大な先人たちの肩の上に立つことで、初めて、より遠くの景色を見ることができるのです。
CXR ヒロシ氏
国内業者でのスキャルピング、特に小さなレンジでの戦い方において、彼の思考と技術は、まさに一つの到達点です。彼のスタイルは、今回の質問への、最も直接的な答えの一つとなるでしょう。
ジュンFX氏
彼の著書で語られる「約定力」の重要性は、全てのトレーダーが心に刻むべき本質です。ブローカー選びという、多くの人が軽視しがちなテーマに、鋭い光を当ててくれます。